
保育園の配置基準(子どもの人数に対する保育士の割合)は、具体的にどう定められており、現場の負担軽減に十分なのでしょうか?

保育士の配置基準は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準によって定められており、子どもの年齢によって細かく割合が決められています。
しかし、この基準は最低限のラインであり、特に乳児クラスや延長保育時には、現場の保育士にとって負担が大きく、十分とは言い難いのが現状です。
保育士の配置基準の「最低ライン」と年齢別の内訳
保育園における保育士の配置基準は、すべての子どもの安全と健やかな成長を保障するために、国が定めた最低基準です。この基準は、子どもの人数に応じて必要な保育士の数を定めており、保育の質を維持するための土台となっています。
【年齢別の主な基準(例)】
- 0歳児:子ども3人につき保育士1人
- 1・2歳児:子ども6人につき保育士1人
- 3歳児:子ども20人につき保育士1人
- 4・5歳児:子ども30人につき保育士1人
この基準は、あくまで「一日を通して必要な保育士の合計人数」を定めるものであり、時間帯や活動内容に応じた配置は園の裁量に任されています。例えば、朝夕の延長保育時間や、園庭での活動中など、子どもの人数に対して保育士が手薄になりがちな時間帯が発生しやすいのが実情です。
また、この基準には、保育士の休憩時間や事務作業の時間は考慮されていません。そのため、保育士は休憩時間を削ったり、持ち帰り仕事をしたりして、日々の業務を回していることが多く、基準=余裕のある体制ではないことを理解しておく必要があります。
基準の厳しさから生じる保育士の「業務負担」と「精神的疲弊」
配置基準が最低限であることの弊害として、現場の保育士の業務負担が極めて重いことが挙げられます。特に0歳児や1歳児クラスでは、基準上は手厚いように見えますが、個々の手厚いケアが必要な乳児が対象のため、一人の保育士にかかる責任と労力は想像以上に大きいものです。
書類作成や行事準備、環境設定といった間接業務は、子どもを見ながら行うのが困難なため、時間外や休憩時間に行われがちです。これは、配置基準が「子どもを見る時間」のみを基準にしているため、「保育士が保育以外の業務を行う時間」が考慮されていないことが原因です。
「もしもの時」のリスクも、常に保育士の精神的負担となります。基準ギリギリの人数で運営している場合、一人が体調不良や急な欠勤で休むと、残りの職員でフォローせざるを得ず、安全性の確保や質の維持が非常に難しくなります。
労働環境を改善するためには、基準を上回る人数の保育士を配置することが理想的です。転職を考える際は、園の体制が「基準通りか、それとも手厚い配置か」を面接などで確認することが、ゆとりを持って働くための重要な判断材料になります。
配置基準の見直しと「加算制度」による改善の動き
保育士の負担軽減と保育の質の向上のため、国も配置基準の見直しに向けた動きを進めています。特に、近年では3歳児の配置基準を「20:1」から「15:1」へ見直すなど、段階的な改善が行われています。
また、基準を補完する制度として、「チーム保育推進加算」や「補助保育士の配置加算」など、国や自治体独自の補助金制度を活用し、基準以上の保育士や保育補助者を配置する園が増えてきました。これにより、保育士の休憩や事務作業の時間を確保しやすくなっています。
基準以上の手厚い配置を行っている園は、職員を大切にする姿勢の表れとも言えます。求人情報を見る際は、「常時複数担任制のクラスがあるか」「保育補助者が配置されているか」など、基準外の加配があるかをチェックすることで、働きやすさの度合いを推測することができます。
配置基準は、時代の変化や保育ニーズに合わせて柔軟に見直されるべきものです。保育士として、「より質の高い保育を提供できる環境」を積極的に求め、そうした努力をしている園を選ぶことが、自身の専門性を高めることにもつながります。
基準以上の「安心」を求めて!あなたの働き方を見直すために
「配置基準ギリギリで毎日いっぱいいっぱい…」と感じることは、あなたの能力不足ではなく、園の体制に余裕がないことが原因かもしれません。この基準は、あくまで「最低限のルール」であることを再度認識しましょう。
大切なのは、配置基準がもたらすリスクを理解し、自身の心身の健康と保育の質を守るための行動を取ることです。無理が続いている場合は、園の管理者へ具体的な改善を提案したり、転職を視野に入れたりする勇気も必要です。
「手厚い配置」は、保育士が笑顔で働けるための絶対条件です。保育士が心にゆとりを持って子どもと関わることで、結果として子どもたちにも安全と安心を提供できます。
あなたの専門的な働きが、正しく報われ、余裕を持って子どもたちと向き合える環境を追求していきましょう。配置基準に関する情報を、より良い職場選びの判断材料として活用してください。
