園児の定員と職員数のバランスはどこで見れば分かる?

労働時間・業務負担

園児の定員と職員数のバランスはどこで見れば、その保育園の状況がわかりますか?

園児の定員と職員数のバランスは、「職員配置の基準」と「現在の実態」の両面から確認することが重要です。
基準は自治体の認可情報や「保育士の配置基準」で、実態は園の求人情報や採用面談、見学時に質問することでわかります。 基準以上の手厚い配置かどうかが、保育の質や働きやすさを測る一つの目安になります。

職員配置基準の「最低ライン」を知ることから始めましょう

保育園の職員数は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(通称「設置運営基準」)によって、園児の年齢と定員に応じた最低ラインが定められています。例えば、4歳以上児は「園児30人につき保育士1人」とされており、これが国が求める最低限の配置基準です。まずは、この公的な基準を知ることが、園の状況を判断する上での大前提となります。

しかし、この国の定めている基準は、あくまで「最低限の人数」であるため、実際の保育現場では、ゆとりある保育や安全確保のためには基準以上の職員配置が求められるのが実情です。多くの自治体では、独自の助成金などを活用し、国基準よりも手厚い職員配置(「加配」)を推奨・義務付けています。特に大都市圏では、この加配が進んでいる傾向にあります。

この「基準」と「実態」のギャップこそが、読者である保育士さんにとっての大きな気づきや判断材料になります。基準ギリギリの配置の園は、休憩や有給の取得が難しかったり、行事前など多忙な時期の業務負担が重くなりがちです。逆に、基準より手厚く配置している園は、一人ひとりの子どもに寄り添える余裕があり、職員間の協力体制も築きやすい傾向があります。

したがって、園の定員と職員数のバランスを見るときは、「国や自治体の基準に対して、どれくらい上回った配置になっているか」という視点を持つことが大切です。基準を大きく超える手厚い配置が確認できれば、それは質の高い保育を提供するための、園の積極的な姿勢の表れと捉えることができます。

理想と現実のギャップ!働きやすさを左右する「加配」の有無

保育士さんの間でよく話題になる不満の一つに、「人手不足による業務の多さ」があります。基準を満たしていても、休憩時間の交代要員や、急な病欠に対応できる人数がいなければ、結果的に職員一人あたりの負担は増大します。この問題を解決し、働きやすさを向上させる鍵となるのが、先述の「加配」職員の存在です。

加配職員が多い園は、「書類作成の時間を確保しやすい」「持ち帰り仕事が少ない」「有給休暇を取得しやすい」といった特徴があります。なぜなら、担任クラス以外の職員が休憩に入ったり、事務作業に専念できる時間をサポートしたり、行事の準備を分担したりできるからです。園の定員と職員数のバランスは、単なる数字ではなく、「職員の心のゆとり」に直結するのです。

求人票などで「ゆとりのある人員配置」や「公的な基準以上の配置」といった文言を見かけたら、それは加配を手厚くしている可能性が高いという意外な視点を持つことができます。しかし、言葉だけでなく、実際に面接や園見学の際に「休憩がきちんと取得できていますか?」「担任以外のフリーの先生は何人いますか?」と具体的に質問することが、入職後のミスマッチを防ぐ上で非常に重要になります。

働きやすい環境を選ぶことは、結果的に長く保育士の仕事を続けるための大切な自己投資になります。配置にゆとりのある園を選ぶことで、心身ともに健康を保ちながら、子どもたちに笑顔で接する時間を増やすことができ、「理想の保育」に近づくことができるでしょう。

ライフステージの変化に対応できるか?確認すべき2つの視点

結婚や出産など、保育士さんのライフステージは変化していきます。その際、「短時間勤務(時短)を利用できるか」「産休・育休明けのポジションはあるか」といった個別事情に対応できるかどうかは、園の職員数に大きく依存します。定員に対して職員数がギリギリの園では、代わりの人員確保が難しく、制度の利用が形骸化しやすいという現実があります。

職員数にゆとりがある園であれば、時短勤務の職員が出た場合も、他の職員への負担が過度に集中することを避けられます。これは園側にとって「一人の職員の継続的な勤務」を優先する姿勢の表れであり、長く勤めてほしいというメッセージでもあります。人数の余裕は、制度を利用しやすい「心理的な余裕」にもつながります。

求人情報で「産休・育休取得実績多数」「時短勤務可能」とあっても、それが「全体の中で何人中何人」という実態なのか、「特定のポジションに偏っていないか」といった点まで深掘りして考えることが大切です。特に、産休・育休から復帰する際は、いきなり担任を持つのではなく、加配やフリーの立場で徐々に慣れていくなど、柔軟な働き方を提示してくれる園は、職員の定着率も高い傾向にあります。

ご自身の未来の働き方を具体的に想像し、その制度が「数字上」だけでなく「現場で機能しているか」を確かめることが、長く活躍できる職場選びの重要なポイントです。園の職員体制にゆとりがあれば、あなたのキャリアとライフイベントを両立させるという、前向きな選択が可能になります。

迷う気持ちに寄り添って。本当にあなたに合う働き方を追求しよう

園児の定員と職員数のバランスは、数字の計算式だけで割り切れるものではなく、その園の「保育に対する想い」と「職員への配慮」を映す鏡のようなものです。基準を満たしているからといって安心せず、「その園で働く自分が、ゆとりを持って子どもと向き合えるか」という視点を最も大切にしてください。

私たちは、つい「基準」や「世間体」といった他者の決めた物差しで職場を選びがちですが、本当に大切なのは「あなたがどんな保育をしたいか」です。例えば、基準ギリギリでも、少人数のアットホームな雰囲気を大切にしている園もありますし、手厚い配置でも、職員間のコミュニケーションに課題がある園も、残念ながら存在します。

ですから、求人票や基準を見るだけでなく、必ず園見学に行き、職員の方々の表情や、子どもたちへの接し方など、「生きた情報」を自分の目で確かめてください。そして、「職員配置について、園が特に力を入れている点」を具体的に質問してみてください。その答えの中に、あなたの働きやすさを見極めるヒントが隠されています。

今のあなたが抱える迷いや不安は、「もっと良い環境で、質の高い保育をしたい」という真摯な想いの裏返しです。自分自身の「働きやすさの基準」を明確にし、その基準を満たす職場を諦めずに探しましょう。あなたの望む環境は必ず見つかります。私たちは、あなたの保育士としての未来を心から応援しています。

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