
保育士の退職金は、勤続年数によってどれくらい変わるのでしょうか?また、パート職員でも支給されることはありますか?

保育士の退職金の額は、勤続年数、雇用形態(公立・私立、正規・非正規)、そして園が加入している退職金制度によって大きく変わります。
一般的に勤続10年を超えるとまとまった額になることが多いですが、パート職員への支給は園の規定次第であり、正職員に比べて制度がないか、あっても寸志程度であることが多いのが現状です。
保育士の退職金の「相場」と雇用形態による大きな格差
保育士の退職金制度は、他の職種と同様に、主に「公立保育園」と「私立保育園」、そして「正規職員」と「非正規職員」の間で大きな格差があります。
【公立保育園(地方公務員)】:地方公務員として公務員の退職金制度が適用されるため、勤続年数に応じた安定した高額な退職金が支給されます。これは私立に比べて大きなメリットです。
【私立保育園(正規職員)】:多くの場合、「社会福祉施設職員等退職手当共済制度(社会福祉医療機構)」に加入しており、勤続年数に応じて支給されます。しかし、公立と比べると支給額は低くなる傾向があり、園独自の上乗せ制度の有無で額が大きく変動します。
【私立保育園(非正規職員)】:パートや派遣の場合、退職金制度自体がない園が多数派です。制度があっても、勤続年数の要件が厳しかったり、支給額が非常に少なかったりと、正規職員との間に大きな格差があるのが現実です。
勤続年数と退職金の関係!「10年目」がキャリアの分岐点
退職金制度において、勤続年数は支給額を決定する最も重要な要素です。多くの制度では、勤続3年以上から支給対象となるケースが多いですが、まとまった額になるのは、一般的に勤続10年を超えてからです。
【勤続3年未満】:支給対象外であったり、ごく少額に留まることがほとんどです。短期間で転職を繰り返すと、退職金をほとんど受け取れないリスクがあります。
【勤続10年程度】:私立の共済制度の場合、数百万円程度が目安となります。この時期は、主任・リーダーへの昇格などキャリアアップの時期とも重なり、転職を考える上での「経済的な節目」となります。
【勤続20年・30年】:特に公立や退職金の上乗せが手厚い私立園では、老後の生活設計の基盤となる大きな額になります。長く勤めるほど、退職金が重要な資産形成の一部となることを理解しましょう。
ご自身のキャリアを考える上では、「次に転職するとしたら、いつ退職金を最大限に活かせるか」を試算することが、後悔のない決断につながります。
退職金を巡る「不満」と確認すべき制度の具体例
保育士から退職金を巡って聞かれる不満の一つは、「長く勤めたのに、思っていたよりも少なかった」という点です。これは、園が加入している制度や、自己都合退職か会社都合退職かによって、計算方法や支給率が異なるために起こります。
【確認すべき制度】:私立保育園に勤務している場合は、園が「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」に加入しているか、また「特定退職金共済制度(特退共)」など、園独自の制度の上乗せがあるかを就業規則や求人票で確認しましょう。
【パート職員の選択肢】:パート職員であっても、「週の労働時間」や「勤続年数」の要件を満たせば、退職金の支給対象となる場合があります。ご自身の雇用契約書や就業規則を隅々までチェックすることが重要です。
転職時には、基本給や手当だけでなく、「退職金制度の有無と内容」を具体的な質問としてエージェントや採用担当者に尋ねることは、将来の経済的な安定を守るために欠かせません。
将来の安心のために!今からできるキャリア設計
退職金は、あなたのキャリアと努力の証であり、将来のセカンドキャリアや老後の生活を支える大切な財産です。「退職金なんて関係ない」と思わず、長期的な視点で考えることが重要です。
もし、現在の園の退職金制度に不安があるなら、待遇改善に積極的で、手厚い退職金制度を設けている園への転職を検討することも、将来の安心を確保するための前向きな選択肢です。
また、退職金に頼るだけでなく、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなど、個人でできる資産形成にも目を向けてみましょう。国の制度を活用することで、ご自身の将来の経済的な基盤をより強固にできます。
「安定」は、人から与えられるものではなく、自分で築くものです。退職金という視点を通じて、ご自身のキャリアと経済状況を見つめ直すことが、納得のいく保育士人生を送るための大きな力となるでしょう。
